
代替療法とは
代替療法とは、通常、がん治療の目的で行われている医療(手術や薬物療法〔抗がん剤治療〕、放射線治療など)を補ったり、その代わりに行う医療のことです。
健康食品やサプリメントがよく注目されますが、鍼・灸、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法なども含まれます。
がんの治療にはいろいろな方法があり、治療後の療養生活が長いことや進行の様子によっては、治療そのものが難しい場合があることから、手術治療や薬物療法、放射線治療といった標準的にがんに対して行われる治療のほかに、いわゆる“民間療法”や“代替療法”と呼ばれる、補完代替療法に関心を持つ患者さんや家族は少なくありません。
代替療法についての情報は、書籍やインターネットにも多くあります。
どのような目的で、どのような効果を期待して使うのかなど、補完代替療法の情報を見るときには、その内容についてよく吟味する必要があります。
5年以内の死亡率が標準治療の「最大5.7倍」
医学的な見地からきちんと早期から外科治療を行うことの多い標準医療と、温存療法や温熱療法など「切らずにガンは治せる」などと標榜して手術を行わない代替療法とでは、発覚し処置後の5年生存率に大きな違いがあることは、かなり報じられるようになってきました。
この「5年死亡率が標準医療の5.7倍」というのは必ずしも正確な表現ではなく、また分かりにくいところではあるのですが、アメリカで最も多かった4種類のがん(乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん)の10年間の治験データを追跡した中で分かった内容です。
結局は転移のない状態で早期発見されたがんを適切に切除処置するか、手術が困難でも適切な化学療法や放射線治療と、一部にはホルモン療法を行うことで5年以上延命できる可能性が高まる、ということになります。
逆に言えば、早期発見できても適切な標準治療が受けられなければ亡くなってしまうリスクが高いわけです。
参考:がんの代替治療は、5年以内の死亡率が標準治療の「最大5.7倍」だった:研究結果
また、『代替療法を取り入れるがん患者の実態』という論文では、
“代替療法を取り入れているがん患者に再発・転移が認められている者が多かった。”
と発表されています。
参考:代替療法を取り入れるがん患者の実態
若くして亡くなった小林麻央さん
小林麻央さん(享年34)に関しては、乳がんは比較的早期のものが発見されたが、乳房の切除と再建をするのは望ましくないこと、また予後に放射線治療を行うと望んでいた第三子が儲けられなくなることを理由に、標準治療ではなく、がんに侵された乳房の温存療法を選択したとされます。
この温存療法という代替医療を強く勧めたとされるクリニックが、先日、不適切で違法な臍帯血移植を「がんに効く」などとして実施していたと摘発されました。
この中で「某著名人の方が、がんの発覚時点から当院の診察、治療を受け、当院の指導により標準治療を受けることをせずに手遅れになったという報道は事実無根でございます」という反論が示されているものの、そもそも無届の臍帯血による治療で乳がんに効果的な治験があるとするデータが乏しく、逆に前出の通り代替治療は標準治療の数倍の死亡リスクがあるとする論文がしっかりとある以上は、もしも標準治療を受けずに代替治療を進めていたならば小林麻央さんが早世してしまった理由とされても違和感はありません。
参考:がん代替治療:小林麻央さんと北斗晶を分けたものは何だったのか|やまもといちろうコラム
まとめ
代替療法について、医療関係者としては、以上の内容からおすすめすることができません。
私たち薬剤師としても、ホントに効くサプリメントや、療法があるなら薬になっていたり、医療として確立してるよねってのが本音です。
ネットの中ではいろいろ情報があり、癌になった当事者としては、何にもすがりたいというお気持ちはあると理解しますが、
それ自体を食い物にする方たちもいることを理解して慎重に情報を選ぶことを願っています。
記事に関する質問やご要望がありましたら、下記LINE@まで気軽にお問い合わせくださいね。
今回は、代替療法についてお話していこうと思います。
昔から、食事療法や健康食品、サプリメント等で「がんが治るよ」みたいな話を医者でもない方がお話していて問題になるケースがよくありましたよね。
私自身、代替療法に関して知識がすくないので、いろいろ調べてみました。
すると結構怖いデータなんかあったりました。