
「アビガン」とは?
「アビガン」とは抗インフルエンザウイルス剤(インフルエンザの特効薬)ですが以下のように使用には制限があります。
「アビガン」添付資料より引用
本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。本剤の使用に際しては、国が示す当該インフルエンザウイルスへの対策の情報を含め、最新の情報を随時参照し、適切な患者に対して使用すること。
つまり、インフルエンザにかかると病院ですぐに処方される「タミフル」と違い、他のインフルエンザの薬が効かない場合、初めて使用できるのです。
なぜ、他の薬と違って「アビガン」はすぐに処方されないのでしょうか?
理由の1つとして考えられるのが「催奇形性(さいきけいせい)」です。
「催奇形性(さいきけいせい)」
「アビガン」は動物実験の段階で胎児に奇形が生じる可能性が確認されているのです。これを「催奇形性」といいます。
注意が必要なのは、女性だけではなく男性の精液中にも「催奇形性」が移行することが分かっています。
インフルエンザウイルスをやっつける仕組みが「タミフル」と違い新しいタイプの薬ということで注目を集めましたが「催奇形性」がネックとなり「条件付き承認」になったのです。
「アビガン」は危険管理が前提とした承認となっているのです。
何故すぐに処方できないの?
薬には「何に効くか」「何に使うか」が明確に決められています。
これを「適応」といいます。
「アビガン」はインフルエンザ薬として承認を受けていますが、新型コロナウイルスへの適応はまだ承認されていないのです。
そのため「適応追加」を目的とした「治験」を行う必要があるのです。
つまり、「アビガン」はインフルエンザの薬だが新型コロナウイルスの薬としては国が認めていないので、再度「治験」を行い国の承認をとる必要があるので、すぐに処方できないのです。
「治験」
薬の開発は、薬になりそうな化合物を探し「基礎研究」からスタートします。
次に動物を使って安全で効果があるかどうかを調べる「非臨床研究」へ進みます。
この後、人を使って調べるのが「治験」なのです。

薬が開発されるまでの流れ(日本製薬工業協会Webより)
もし「治験」で新型コロナウイルスに効果があることがわかったとしても「催奇形性」については注意が必要です。
それは、いくら「治験」を行うといっても妊婦に「治験」を行うことはないからです。
投与後○○日避妊すれば大丈夫というのは現時点ではだれにも分からないのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「アビガン」が効くかもしれないなら、すぐに増産して患者に投与すればいいようなものですが上記のような事情があるのです。
それでも国はできるだけ早く使用できるように動いてくれています。
また、マスコミについては、国の対策に一喜一憂し批判を繰り返し、日本よりはるかに感染者、死亡者を出している国をお手本にするような報道を行っていますよね。
「アビガン」についても期待させるだけではなくこういった副作用についてもしっかり報道してほしいものです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事へのご質問や感想は、下記LINE@まで気軽にお問合せくださいね。
(@^^)/~~~
新型コロナウイルスがどんどん拡大しているなかで特効薬として期待される「アビガン」が話題になっていますよね。
では、「アビガン」とはどんな薬なのでしょうか?
また、特効薬として期待できるなら何故すぐに処方しないのでしょうか?
今回は、こんな話題の薬「アビガン」についてまとめていきます。